『エルデンリング』では基本的にストーリーが直接語られることはなく、プレイヤーが冒険の中でかき集めた断片的な情報から物語を推測するしか『エルデンリング』の物語を理解するすべはありません。
そっち(製作者側)がその気ならこっち(プレイヤー側)も死ぬ気で物語を解明してやろうじゃねえか!ということで、『エルデンリング』の物語に潜む謎について考察・整理してみます。
ほとんどの内容がネタバレを含むので未クリアの人は注意です。
また、可能な限りゲーム内情報から読み取れる事実を根拠としていますが、他の方の考察の影響を受けていたり憶測の域を出なかったりする箇所もあります。
狭間の地の出来事とその時系列
まずは『エルデンリング』の世界観および歴史を紐解くため、狭間の地での出来事を時系列順に並べて整理してみたいと思います。
時系列の前後関係が不明瞭なものなどは勝手に補完しているので、仮説の一つとしてみてください。
- 竜が狭間の地を支配・統治する
- この頃はプラキドサクスがエルデの王だった
- プラキドサクスは神の帰還を待ち続けていた
- この頃はデミゴッドも黄金樹もなく、より純粋な力が重要だったことが窺える
- マリカが神となる
- 大いなる意思は狭間の地にエルデの獣=エルデンリングを送り、稀人であるマリカを神に任命した
- 大いなる意思はマリカに継承者となる神人を要求した
- 稀人マリカと蛮地の王ホーラ・ルーが出会い、ホーラ・ルーはゴッドフレイとして王となることを誓う
- マリカとゴッドフレイは最初のマリカの血族であるゴッドウィンを産むが、失敗作の半神デミゴッドだった
- 巨人戦争勃発
- マリカとゴッドフレイは黄金樹を焼く火を司る巨人たちに戦争を仕掛ける
- トロルの裏切りもあり、最終的に巨人たちに勝利する
- 小さい巨人(ゲーム中の火の巨人)が滅びの火の番人としてマリカに呪われる
- マリカとゴッドフレイが双子モーゴットとモーグを産むが、ゴッドフレイに刻まれた巨人戦争の呪いにより忌み子となる
- リエーニエ戦役勃発
- この頃王都ローデイル建設、各地に戦争を仕掛け勢力を拡大する
- 第一次リエーニエ戦役にて赤髪のラダゴンが英雄になる
- 戦いの末、結びの教会でラダゴンとレナラが結婚し、第二次リエーニエ戦役終結
- ラダゴンとレナラとの間に成功作の神人が1人(ラニ)と、失敗作の半神が2人産まれる(ラダーン、ライカード)
- ゴッドフレイが狭間の地を追放される
- 神人が生まれて用済みとなったゴッドフレイは二本指により狭間の地を追放され、最初の褪せ人となる
- ラダゴンがレナラを捨て、空席となったエルデの王となる
- 宵眼の女王との戦い
- 宵眼の女王は神肌の使徒たちと共に神狩り=マリカ殺しを試みるが敗北
- マリカは宵眼の女王から死のルーンを奪い去り、黒き剣のマリケスに死のルーンの管理を任せた
- マリカはエルデンリングから運命の死を除外し、生命を永遠のものとしようと試みた→黄金律の完成
- 宵眼の女王の行方は不明
- 大いなる意思、マリカの後継者候補を指名
- マリカとラダゴンの間に神人であるミケラとマレニアが生まれる
- しかし単為生殖のため、二人とも神人の資格はあるがミケラは永遠に幼く、マレニアは朱き腐敗に呪われた失敗作だった
- 二本指はラニ、ミケラ、マレニアをマリカの継承者候補とする
- 古竜戦役勃発
- 王都ローデイルに大古竜グランサクス襲来、退治される
- ゴッドウィンがフォルサクスと友誼を結んで終戦
- プラキドサクスはこの戦争で首を2本落とされた?
- 古竜戦役以後、ファルムアズラは時空が歪んだままになる
- 陰謀の夜にゴッドウィンが暗殺される
- 首謀者はラニであり、大いなる意思の運命から逃れるために画策した
- 協力者の黒き刃が死のルーンを盗み出し、それを用いてラニは神殺しの刃を作成、ゴッドウィンの魂とラニの肉体を殺させる
- マリカがエルデンリングを砕く
- 砕いた理由は諸説あり
- その後、ラダゴンがエルデンリングの修復を試みるが失敗する
- マリカは大いなる意思の意向に反いたため、黄金樹の内側に磔にされ、幽閉される
- 砕かれたエルデンリングの欠片(=大ルーン)をめぐってデミゴッド同士の破砕戦争勃発
- 第一次ローデイル防衛戦
- 君主連合と王都軍が激突、モーグの暗躍で連合が瓦解
- 第二次ローデイル防衛戦
- モーゴットがマルギットとして忌み子の部隊に参加、英雄の屍を築く
- 負けたゴドリックがリムグレイヴに逃亡、ゴドフロアは捕縛される
- 火山館攻略戦
- 王都軍と火山館が戦争
- 終わりもない惨戦にライカードは憤り、蛇に自身と大ルーンを食わせる
- マレニアがリムグレイヴに南下、君主軍と激突してゴドリックに勝利
- ゴドリックはマレニアに許しを請う
- エオニアの戦い
- マレニアがケイリッドに侵攻
- マレニアとラダーンが決戦するも相打ち
- 破砕戦争は勝者不在で終わる
- 第一次ローデイル防衛戦
- 大いなる意思はデミゴッドたちを見限り、代わりに褪せ人たちに祝福をもたらす
- エルデンリングを修復するために必要な大ルーンを集めさせ、新たな王を目指すよう誘導する
- ここからプレイヤー目線の歴史になる
- 一人の褪せ人が王を目指す
- 大ルーンを集めて王都ローデイルへ向かうが、マリカの意識と同化した黄金樹はゴッドフレイ以外の全てを拒絶
- 大いなる意思、黄金律を修復させる手段が無くなりどうするべきか思案する→大いなる意思と交信するために二本指はフリーズ
- 褪せ人、マリカへの道を無理やり作るため黄金樹を燃やす
- 新たな時代へ
- 褪せ人が黄金律を守ろうとしたラダゴンとエルデンリングそのものであるエルデの獣を打倒する
- 褪せ人はエルデの王となり、次代のルールを策定する
こうしてみると非常に神話的な物語ですね。具体的にどの時代がどのくらいの年数続いたのか、地球とは比較にならないくらいの年月が経っているかもしれませんね。
デミゴッドたちの目的や行動原理
女王マリカ、英雄ラダゴン

『エルデンリング』の物語はマリカの後継者を探すものでもあったため、彼女の行動理念を知ることが直接物語の理解につながります。
マリカはもともと狭間の地の外からやってきた稀人と呼ばれる人種でした。理由はわかりませんが、大いなる意思から神に任命され、後継者となる神人を見つけるよう指示されます。そのためにあの手この手で子供を産み、なんとか後継者を用意しようとしました。
時には男性であるラダゴンとなってレナラと子供を作ったり、時には自分と結婚して子供を作ったりします。このマリカ=ラダゴンであることが『エルデンリング』の物語の理解が難しい原因ですね。問題は、マリカの意志とラダゴンの意志は別々であり、同一人物であるにも関わらず相反する思想を持っていることです。体は共有していても心は別なんですね。
それゆえマリカがエルデンリングを砕いてラダゴンがエルデンリングの修復を試みるなど、相反する行動を取ることもあります。マリカは大いなる意思に反発していますが、ラダゴンは黄金律を絶対的なものとして扱っているようです。
マリカがエルデンリングを砕いた理由は諸説あります。
- ゴッドウィンの死を完全でなくすために、黄金律であるエルデンリングを砕いてどんな形でもゴッドウィンを延命しようとした
- 息子(ゴッドウィン)が殺されて単純に発狂してヒステリーを起こした
- 大いなる意思の従うしかないこの世界に嫌気がさして砕いた
などですね。真相は分かりませんが、陰謀の夜がきっかけであることを考えると1つ目の理由がしっくりくる気がします。
黒き剣マリケス

マリケスは二本指から遣わされたマリカの獣の従者であり、義弟でもあります。大いなる意思は二本指を通じて神人に獣の従者を一人遣わします。マリケスやブライヴはそのうちの一人ですね。
マリケスは宵眼の女王から奪った死のルーンの管理をマリカから任されていましたが、陰謀の夜に死のルーンの一部を盗まれてしまいます。その罰として、マリカに飢えの呪いをかけられると共に、自責のために死のルーンを黒き剣と共に封じました。
その後は獣の司祭として飢えに苦しみながら死の根を集めているようですね。グラングは渇きを潤すために死の根を集めていますが、結局全部集めてもその渇きは止まらなかったようです。
ゲーム中でマリケスを倒したあともグラングに会えることを不思議に思うかもしれませんが、これはファルム・アズラは時空が歪んでいるため、グラングが獣の神殿にいる時間軸とマリケスが黒き剣を解放して主人公と戦う時間軸が別のものだとみなす考えが一般的なようです。
魔女ラニ

ラニは月の王女レナラとラダゴンの子供です。デミゴッドの中ではミケラ、マレニアと同様に神人としての資格を持ち、二本指(=大いなる意思)からマリカの後継者として指名されます。
しかし、ラニ本人は大いなる意思に従わず、運命に反旗を翻します。そして陰謀の夜を企て、ゴッドウィンの魂と自身の身体を殺します。ゴッドウィンを殺した理由は定かにされていません。
そもそも陰謀の夜は複数のキャラクターの思惑が渦巻いているため、ゴッドウィンを殺したのはラニの考えではない可能性も十分あります。ラニとしては、自身を神人の後継者から外すため、身体の自殺を図ったことが主な目的でしょう。
忌み王 モーゴット

ストーリーの序盤から中盤にかけてずっと褪せ人の前に立ちはだかったローデイルの現王モーゴット。彼の思惑は他と比べると分かりやすいです。
祝福なき褪せ人よ
モーゴット戦闘前のセリフ
王の座に、何の用がある
ああ…
黄金のゴッドウィン
天賦の双子、ミケラとマレニア
将軍ラダーン
法務官ライカード
月の王女、ラニ
まつろわぬ、裏切り者共
お前たちは、皆、同じ
野心の火に焼かれた、略奪者よ
…愚かな墓標に刻むがよい
最後の王、モーゴットの名を!
モーゴットは他のどのデミゴッドよりも王都ローデイルと黄金律を信仰していました。しかし自身は黄金律の祝福なき忌子であり、そんな自分が王となって王座を穢してしまうことを憂いていました。
誰よりも黄金律を愛したが故に、他のデミゴッドたちが己の欲望のままに好き勝手に振る舞う様に怒り、祝福のない褪せ人が王を目指すことに憤りを感じていました。黄金律への想いが強すぎたための歪な感情です。
祝福なき忌み子として生まれ落ちてなお
モーゴットの追憶テキスト
モーゴットは、黄金樹の守人であろうとした
愛されたから、愛したのではない
彼はただ愛したのだ。
モーゴットは忌み子である自分が王であることは許されざることであり、誰にも知られてはならないと考えていました。それゆえ姿なきモーゴットとして君臨しつつも、マルギットとして戦争に参加したり褪せ人の前に立ちはだかったりしていたようです。
血の君主 モーグ

モーグはモーゴットの双子の兄弟です。ただし、モーゴットは黄金樹に愛されずになお黄金樹を愛し、モーグは生まれついた穢れ=忌みを愛しました。
モーグは、モーゴットの双子の兄弟であり
モーグの大ルーン
その大ルーンもまた、似通っている
しかしモーグは、それを呪われた血で染めた
地の底で、生まれついた穢れを愛したのだ
要するに、黄金樹や大いなる意思に反目し、それらに代わって新たな王朝を築こうとしていました。そのために神人であるミケラを攫い、血を与えていたようです。ミケラを神として血を与える理由については不明ですが、血を司る外なる神に唆されたとされる説やミケラに利用されていた説が濃厚です。
ちなみに、王都の地下にいる忌み子モーグは血の君主モーグの幻影であるとされています。黒いもやと共に登場することやモーグの拘束具が有効なことから、同一人物扱いであるようです。
忌み子であるモーゴットとモーグに専用の拘束具が用意されていることが、彼らの過去を想起させますね。
宵眼の女王
宵眼の女王は神肌の使徒や黒炎を携えて神狩り、すなわち女王マリカ殺しを企んだ人物です。
神狩りの黒炎を操る使徒たちは
神肌の使徒フードテキスト
かつて、運命の死に仕えていたという
しかし、黒き剣のマリケスに敗れ
それを封印されてしまった
上記テキストからは宵眼の女王は運命の死を司る、または運命の死そのものであると推測できます。しかし神狩りには失敗し、マリケスに敗れ、運命の死は封印されました。マリケスが管理していた死のルーンはこの運命の死と同等のものでしょう。
また、宵眼の女王を象徴する「宵眼」は、それぞれグラングとメリナが持っていそうです。グラングから渡される獣の瞳は死の根に反応することからも宵眼との関連性が伺えますし、メリナが狂い火の王エンドにて開眼した左目は青くくすんでいます。

メリナと宵眼の女王の関連性も深い可能性がありますね。
使徒たちを率いた、宵眼の女王
黒炎の儀式テキスト
彼女は、指に選ばれた神人であったという
上記テキストによると、宵眼の女王は神人であることが分かりますが、女王マリカの血族の中で神人と呼ばれる者はラニ、ミケラ、マレニア、そしてマリカ本人だけです。彼女らは二本指に選ばれた神人です。
宵眼の女王も「指に選ばれた」とありますが、この指が二本指なのか三本指なのか、はたまた全く別の存在なのかは定かではありません。
もし二本指ならラニ、ミケラ、マレニア、マリカの誰かと同一人物となります。生まれた時系列的にもミケラとマレニアの可能性は低いと思われます。ラニも情報が多いにも関わらず黒炎や神狩りとの関連性が全く見えないことから可能性は低そうです。残る可能性はマリカですね。
宵眼の女王がマリカ殺しを企んだことから矛盾が生じるようですが、マリカはラダゴンと同一人物であったことから、宵眼の女王がマリカの別人格である可能性は十分あるかもしれません。そう考えると、マリカは黄金律から運命の死を取り除くため自身の中の宵眼の女王と戦い、勝利し、運命の死を排除することに成功したと見做すことができます。ゲームの最終局面でもエルデンリング=マリカであることから、宵眼の女王との戦いは自分との戦いだったのかもしれません。
他には、三本指に選ばれた神人である可能性も高そうです。もともと大いなる意思の受信機である五本指が黄金律絶対主義の二本指と黄金律に反旗を翻す三本指に分かれた説が濃厚であるので、宵眼の女王が三本指に選ばれた神人で、二本指の選んだ神人であるマリカに攻撃を仕掛けたと考えるとしっくりきます。大いなる意思としては、絶対的な一つの律が狭間の地に君臨するよりも、流動的に律が変わっていく世界を望んでいたのかもしれません。
褪せ人たちの物語
『エルデンリング』ではデミゴッドたち以外のキャラクターも多く登場しますが、一体誰がどの勢力で、その思惑はなんなのかが分かりにくいことも多いので、まとめてみようと思います。
百智卿ギデオン=オーフニール

物語終盤、いよいよ主人公である褪せ人が王になりそうになった時に敵対するギデオンさんですが、いまいち褪せ人を襲ってくる理由が不明瞭です。
ああ、やはり君だったか
灰都ローデイルにて敵対時のセリフ
エルデンリングに見え、エルデの王になるのだな
しかし、残念だ
その意志はよい、だが、達せられるべきではないのだよ
女王マリカは、私たちに望んでいるのだ
ずっと、足掻き続けることをね
百智卿の目的としてはエルデンリングを修復しエルデの王になることで一貫しています。主人公である褪せ人を同士として協力し合いますが、二人の決定的な違いは「エルデンリングの修復」に重きを置いているかどうかです。
主人公はエルデの王を目指していますが、エルデンリングの修復に拘っていません。エンディングの分岐を見ればわかるように、エルデンリングを修復しても良いし、新たな律を制定しても良いし、狂い火の王となっても良い。結果はともかく、エルデの王になることが目的です。一方、ギデオンはマリカの言葉に触れ、マリカの考えに触れ、マリカの考えに則った結末を求めました。エルデンリングを修復し、黄金律を存続するために彼は主人公と敵対したのでしょう。
二本指との長き対話の後、ギデオンは悟った。
王たる聖防護のテキスト
すべて、とうの昔に壊れていたのだ。
老いさらばえた指も、黄金樹も
このテキストによると、ギデオンは黄金律が壊れていること、そしてその修復は絶望的であることを知ってしまっているようですね。もしかしたら主人公と敵対したのは、黄金律の修復が絶望的であることを知った故の自暴自棄だったのかもしれません。
全てを識った故に黄金律修復に囚われてしまった哀れな褪せ人がギデオン=オーフニールなのかもしれません。
金仮面卿

金仮面卿は奇妙な行動と奇矯な外見から謎の多い人物ですが、実は深淵な考えを持っています。彼は世界の仕組みである黄金律の仕組みや成り立ちを分析・理解しようとする研究者のようなものです。ただし、天才すぎてほとんどの人間は彼についていけず、弟子もほとんどが離脱しました。その後にとった弟子がコリンですね。
金仮面卿は主人公である褪せ人から情報をもらいつつ黄金律を理解し、最終的に神に感情は必要ないという結論に達します。確かに狭間の地で起こっている不都合な出来事は神の介入が原因であることが多いです。マリカが独断で死のルーンを黄金律から除外したせいで生の循環はなくなり骸骨や霊体などが跋扈していますし、外なる神の介入により腐敗の概念が不利益を撒き散らしていたりします。
神から受ける恩恵もあるが、神に感情なんて余計なものがあるから受ける不利益も多い。だから神は狭間の地から遠い外界に封印し、神の恩恵だけを生命が受け取れるようにしようというのが金仮面卿の考えた理想の世界です。
全てを識ろうとした故に黄金律に囚われた百智卿と、ただ1つを識った故に黄金律の変革を見出した金仮面卿の対比が皮肉ですね。
死衾の乙女 フィア

フィアの目的はゴッドウィンを生き返らせること、ひいては黄金律に死の概念を取り戻し、死に生きるものたちの世界を成すことでした。
それは、2つの欠環が合わさった聖痕であり
死王子の修復ルーンテキスト
死に生きる理を、律の一部とするものである
黄金律は、運命の死を取り除くことで始まった
ならば新しい律は、死の回帰となるであろう
マリカが黄金律から運命の死を取り除いたことで黄金律は始まりました。死の概念が排除された黄金律は完全かと思われましたが、それゆえにゴッドウィンは中途半端に死に、マリカは狂いました。
フィアの目的とマリカの目的は同じものなのかもしれません。世間では息子が死んで狂ったマリカがエルデンリングを砕いたとされていますが、真の目的はゴッドウィンの死をやり直すこと。一度ゴッドウィンを完全に殺し、フィアの死衾の力を借りてゴッドウィンを再生することが目的だったのかもしれません。
フィア自身はマリカと繋がっていたのか、それともそれさえも利用していたのか、まだまだ疑問点は残りますね。
分岐エンディングとそれぞれの律
『エルデンリング』のエンディングは大きく分けて以下の3つがあります。
- 修復エンド
- エルデンリング(黄金律)を修復し、エルデの王となるエンド
- 星の世紀エンド
- ラニが黄金律を撤廃し、新たな律を定めるエンド
- 狂い火エンド
- 忌み捨ての地下最奥で狂い火を受領し、狂い火の王となるエンド
各エンドでは、今後の狭間の地を治める律がそれぞれ異なります。
修復エンド

このエンディングは「何」で壊れたエルデンリングを修復するかで分岐します。エルデンリング修復後の世界がどんなものなるかは修復ルーン次第です。
修復ルーンを何も用いないと完全に黄金律を修復することはできません。それゆえ褪せ人は王になりますが、壊れかけの時代と呼ばれることからもわかるように、またすぐに黄金律は壊れてしまうでしょう。
金仮面卿が見出した完全律の修復ルーンを用いてエルデンリングを修復すると、神の恩寵だけを生命が賜ることできる完全律エンドになります。詳細は金仮面卿の章を参照です。
死王子の修復ルーンを用いてエルデンリングを修復すると、「死の概念」を死の中に生きる者の手で世界を紡ぐ死エンドになります。詳細はフィアの章を参照です。
忌み修復ルーンを用いてエルデンリングを修復すると、忌み呪いエンドになります。詳細は糞食いの章を参照。このエンドでは狭間の地は「忌み」に満たされたおどろおどろしい世界になるでしょうが、全員が呪われていたらみんな平等で素敵だね、と言う考えですね。
星の世紀エンド

このエンドはラニが狭間の地を夜の律で治めようとするものです。
既存の黄金律を修復して使い続けるのではなく、新たな夜の律を定めてしまおうという考え方ですね。
私は誓おう すべての生命と、すべての魂に
エンディングのラニのセリフ
これよりは星の世紀
月の理、千年の旅
すべてよ、冷たい夜、はるか遠くに思うがよい
恐れを、迷いを、孤独を そして暗きに行く路を
さあ、行こうか
このエンディングを見た後にラニの塔に行くとラニが新しい律について補足してくれます。
私の律は、黄金ではない。星と月、冷たい夜の律だ
エンディング後のラニのセリフ
…私はそれを、この地から遠ざけたいのだ
生命と魂が、律と共にあるとしても、それは遥かに遠くあればよい
確かに見ることも、感じることも、信じることも、触れることも
…すべて、できない方がいい
だから私は、律と共に、この地を棄てる
まだ抽象的なので分かりにくいですが、新しい夜の律の方針は窺い知れます。考え方としては、金仮面卿の完全律に近いですね。律は強く世界と干渉するのではなく、ルールとして存在していれば良いというものです。そのためにラニは褪せ人と共に遠い地へ行き、狭間の地と夜の律を隔てようとしているわけです。
狂い火エンド

このエンドでは三本指から狂い火を賜った褪せ人が狂い火の王となります。
世界樹は焼かれ、狭間の地は混沌が飲み込みます。これこそ三本指が望んだ世界なのでしょう。
そもそも二本指も三本指も大いなる意思の端末であるのに、なぜここまで思想が異なるかは疑問ですね。大いなる意思としては、世界は多様性を孕んでいるべきだという考えなのかもしれません。
その他世界観考察
エルデンリングとはなんなのか
エルデンリングとは、世界のルールそのものだと思われます。
狭間の地ではマリカによって黄金律(=エルデンリング)が壊されていました。
『エルデンリング』は主人公が次の世界のルールを選ぶ物語です。
あまりテキストなどの情報からは読み取りにくいですが、各エンディングの分岐を考えるとエルデンリング=世界のルールとみなすのが自然だと思います。
『エルデンリング』のテーマは「写し身」
写し身とは自身を写す鏡のような存在です。『エルデンリング』の登場人物は写し身的な関係性を持つものが非常に多いです。
- マリカとラダゴン
- 同一人物
- グラングとマリケス
- 同一人物
- マリケスを倒してもグラングが獣の神殿にいるのはファルム・アズラの時空が歪んでいるから
- モーゴットとモーグ
- 双子
- マルギットとモーゴット
- 同一人物
- より正確には、黄金の祈祷か何かで作った分身がマルギットとされている
- 根拠はモーゴットを倒した後にマルギットがいた場所に行っても戦えないことやマルギットの高速具がどちらにも使用できること
- 忌み子モーグと血の君主モーグ
- 同一人物
- マルギットとモーゴットのような関係性の可能性が高い(分身関係)
- 根拠はモーグの拘束具がどちらにも使用できること
- ミケラとマレニア
- 双子
- マレニアとミリセント
- 神人と褪せ人の写し身?血縁関係?
- 腐敗に毒されている、隻腕、水鳥乱舞の剣技など、共通点が多い
- ラニとメリナ
- 2人とも隻眼
- 関係性があるかは不明
- ミケラと主人公
- 指読みの婆に「ミケラと縁がある」のような事を言われるため、マレニアとミリセントのような関係性である仮説がある
- ミケラの情報が少なすぎるため、憶測の域を出ない
- 二本指と三本指
- どちらも大いなる意思の受信機
- もともとは五本指だった仮説あり
- 五本指を二つに分けた結果、大いなる意思に忠実な二本指と大いなる意思に反逆的な三本指に分かれた?
ざっと思い浮かぶものだけでもこれだけあります。鏡合わせのような関係性が『エルデンリング』のテーマにあるのは明らかでしょう。