『子ども科学電話相談』の最高にロックな質問集

『子ども科学電話相談』は子どもたちの質問に専門家の先生方が優しく答えてくれるというラジオです。純真無垢な子どもたちの質問に胸打たれたり、先生たちの優しさ溢れる回答に感動したりすることで人気の本ラジオですが、時たま、最高に「ロック」な質問が飛び出したりします。

子どもたちが純粋さゆえにロックな質問をすることもありますし、先生たちが皮肉の効いたロックな回答をすることもあります。本記事ではそのようなロックな質問と回答を集めてみました。あなたの心の中の「ロック」を解放させながらご覧ください。

ロックが何かは、私にもわかりません。ではいきましょう。

人は何のために生きているの?

まさか『子ども科学電話相談」でこんな深い質問をされるとは先生も思わなかったでしょう。人生の最終問題ともいうべき問いが小学生の口から飛び出すとは。人はなぜ生きるのか。それは数多の哲学者が幾星霜の時をかけて考えても答えは見つからず、そもそも正解なんてものがあるかも不確かな、人類の至上命題です。

生きてるっていうのは生まれてきてるんだから、死ぬまで限られた命の間に、なにが自分ができるのかということを問われているのが、僕は人間だと思う。こんなこと考えるのは人間しかいないよ。

小菅正夫先生

先生のお答えも渋すぎる。これまでのやり取りを極端に要約すると、「人はなぜ生きる?」「それを考えるためだ」になります。ここまでハードボイルドでロックなやり取り、アメリカン映画でも見たことがない。人生で一度はやってみたいやり取りを、『子ども科学電話相談』という場でやってのけるとは。

『子ども科学電話相談』は大人にも何かを考えさせるような質問が多いようです。

世界は朝から始まったんですか?

「世界が朝から始まった」なんて発想、子どもからじゃないと出てこないでしょう。歌詞にしてほしい。将来はさぞかし名のあるミュージシャンになることでしょう。切ないリリックでファンの耳をぶん殴ってほしい。

この子はお空を見ていてふと思ったから質問したそうです。「空」じゃなくて「お空」です。自分が子どもだった頃に「お空」なんて上品な言い方をしていただろうか。絶対してない。

実はね、朝っていろんなところが朝だから、どこから始まったのかなっていうのは、1日という時間の中から言うと、ちょっとそれは答えが出てこない。分からないの。

国司真先生

先生も朝の概念や自転による時間の概念をなんとか小学1年生に伝えようと頑張ってました。その歩み寄りがいじらしくも尊い。

宇宙人は悪者なの? 優しいの?

我々大人たちが宇宙人の有無を考えているかたわら、子供は宇宙人の善悪を問う。それは宇宙人とコミュニケーションすることを前提としないと出てこない疑問でしょう。いるかどうかではなく、彼らと仲良くなれるかどうかを考えている。リアリストの大人たちより、一歩先の問題を見据えているような気がしますね。

もしも地球に宇宙人が来たとしたら、その宇宙人はとっても長い間宇宙を宇宙船で飛んできて、ようやく地球に来てくれたんじゃないかなと思うのね。そうすると、きっとその宇宙人は悪者じゃないんじゃないかなって、私は思うのです。

永田美絵先生

先生も子供に負けじ劣らず、想像力と共感力が豊かです。遠路はるばる苦労して地球にやってくるくらいなのだから、そうまでして私たちに会いたかったんだから、きっと彼らは親切だろうというお考えでした。

あいにく私は宇宙人と会ったことが今のところないので、是非とも親切な宇宙人に会ってみたいものです。

人はなぜ悲しみや苦しみを感じるのですか?

きっとおそらく多分、この質問をした子は人生で辛いことがあってなぜ自分がこんな思いをしなければならないのか疑問に思った、、、というわけでは無いのでしょう。おそらく純粋に、悲しみや苦しみというなんのメリットもなさそうな感情がなぜあるのか不思議に思っただけなのだと思います。極めてピュアな好奇心。ただただ答えを知りたいだけの少年の無垢な心が眩しいです。

感情が細やかで共感能力の高い個体が子孫を残しやすいからです

先生

そして全く反論の余地がないほどの納得のご回答。子どもだけじゃなく、聞いていた大人も全員得心がいったのではないでしょうか。物事には納得のいく理由がある。科学の面白さも如実に表れている素晴らしいアンサーでした。

からあげ座作りたい

子ども特有の「この世界って自分を中心にまわっているんだよね?」感が質問から溢れ出ています。からあげが好きだから、からあげ座を作る。なぜなら、俺がからあげを好きだから。周りがどうとか世間体がどうとかそういう一切の些事は意に介さず、ただただ自分がしたいからする。最上級のわがまま。子供らしくて最高ですね。

からあげを食べながら、からあげ座が見られるといいね。

藤井アナ

藤井アナのこのコメントも、そこはかとなくロマンチック。からあげなのに。

なぜ人間はやってはいけないことをやってしまうの?

視点が完全に人類の愚かさを嘆く釈迦。目を瞑ると遥かなる高みから人類の愚かさを嘆く菩薩の姿がまぶたの裏に浮かびます。

虫は教えてもらわなくてもいろいろ知っているのに、なんで人間は海にゴミを捨てないとか、木を切り過ぎたらいけないとか教えてもらっても覚えられないんですか? どのくらい長い時間だったら人間はやっちゃダメなことをやらないように進化できますか?

さやねさん

この子は小学2年生らしいんですが、小学2年生とは思えません。虫と人間を比較して、虫はすごいのになんで人間は、と言っているんですよ。虫への畏敬の念と、人間への怒りを感じます。

一方で、この子は人間は進化できると思うか聞かれると迷いなく「思う」と答えます。人間に失望しているものの、人間への希望も持ち合わせている。小学2年生にして菩薩のごとき慈悲と慈愛。脱帽です。

生命ってなんですか?

小学校に通う身にして生命の定義を求めるとは。求道者?

子どもの素朴な疑問は、時に真理を追い求める仙人のごとき雰囲気を醸し出します。この世に生を受けてまだ間もないはずの子どもと深い年月を重ねた仙人の疑問が同じようなものになるのはなぜなのでしょうか。

人間とロボットを比べてみましょうか。人間は子どもを産み、食べたものを自分の体にできます。そんな風に、過去から未来、外と内とつながっているものが生命なのかもしれません。

先生

そしてそんな森羅万象の高みに立つ仙人のような質問に華麗に答える先生は一体何者なのでしょうか。「過去から未来、外と内とつながっているものが生命」。文学?

ネコに話しかけたら、ネコにはニャーと聞こえるんですか?

可愛らしい質問ですが、猫の視点に立った面白い質問でもあります。歳をとればとるほど「ネコ」の視点に立って物事を考えることは難しくなるんじゃないでしょうか。人間として数年、数十年生きてしまっているわけですから。子どもだからこその質問な気がします。

おじさんそんなこと考えたことない。わかんないごめんね。ぜひ君にもっと研究してもらいたいな。

先生

ついに先生もサジを投げました。が、子どもに未来のバトンを渡しています。この子にはいつかこの謎を解明して欲しいですね。

人間はなぜ争うのですか?

今度はキリストみたいな小学生が出てきました。人の清と濁、悪と善、相反する2つの属性を一緒くたに愛し、それでもなお愚かに争い続ける人間に対する慈愛と嘆きを感じさせる質問です。

庭をコンクリートで固めちゃったんですが、蝉の幼虫はどうなりますか

死ぬねー死んじゃうねえー。出てこれないから死ぬし、そもそも固める以前に庭の木を切った時点で餌とれなくなって死ぬねえ。

先生

子どもを気遣うことなくただただ残酷な現実を教える先生。子どもに嘘偽りを一切用いずただ真実を伝えるという先生の姿勢には感服します。子どもを子どもと侮らず、誠意を持って接することは意外と難しかったりしますからね。

なんで数字には終わりがないの?

小学1年生という身分でありながら無限の概念に疑問を持ち考察を深めるほどの人材。フェルマーの生まれ変わりでしょうか。小学1年生って「今日の給食何かな」とか「算数きらーい」とかそんなことしか考えてなかった気がするのですが、果たして私がアホすぎたのかこの質問者が優秀すぎるのか。後者であることを願います。

「無限」の概念を小学1年生にどう伝えるんだろうと不思議に思っていましたが、

かえでさん、一番大きい数っていうのを頭の中で想像します。いいですか?一番大きい数。今、頭の中でイメージしました。では、その数に、1を足したら、それを、イメージした数よりも、やっぱり大きくなっちゃいますよね。っていうふうに、どんどんどんどん大きい数が生まれてきちゃうんですよ。そうすると、大きい数っていうのを、決めることができなくなっちゃう。いうふうになりますよね。

藤田貢崇先生

先生が完璧な回答をくれました。すごい分かりやすい。私の中の小学1年生男児も深々と納得しています。ありがとう藤田先生。

おわりに

「子ども科学電話相談のロックな質問まとめたいな」と思い立ち実際に自分がロックだと思う質問を集めていたところ、ロックというものがなんなのか完全に分からなくなりました。

調べてみても「そもそも定義できないものがロックだ」とか「ロックは死んだ」とかロック過ぎる意見が多すぎて釈然としない。ただ、ロックは一説によると常識を破壊することらしいです。そして科学とは、常識じゃ計れないことを常識にしてしまうことです。もしかしたらロックと科学は相反しているようで非常に近しい概念なのかもしれません。

子どもたちの飽くなき知的好奇心こそがロックなのだと信じて、筆を置きたいと思います。

参考

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